~学びと気付きの場所作り~

◆地域での活動や、日々試行錯誤した事について書いています◆

新卒薬剤師から学ぶ日々

私が勤める中田薬局は、

岩手県釜石市という人口約3万2000人の

小さな町に4店舗を構える小規模薬局である。

(参照:有限会社中田薬局 - 岩手県釜石市を中心に展開する調剤薬局)

 

そんな薬局に、新卒薬剤師が

入社するようになって3年が経過する。

(2018年度:2名 2019年度:1名 2020年度:2名)

 

小さな薬局ということもあり、

社長と社員の距離も近く、

状況に合わせて変化することもあり、

VUCAの時代ということを考えると、

ポジティブに捉えても良い部分であると

私自身は認識している。

 

現在は、各店舗の薬剤師に余裕があることもあり、

今年度入社の2名は、3ヶ月毎に4つの店舗を

回りながら、この1年間は経験してもらう、

という方針だ。

 

そんな中、新卒薬剤師2名のうちの1名が、

私が薬局長を勤める店舗で4月から働いている。

 

そこで得た気付きを、

今回はつらつらと書いていきたいと思う。

 

足りない認識

 

こんな見出しにすると、

新卒薬剤師に何か足りないところがあるのでは、

と思う人もいるかもしれないが、そうではない。

 

私自身に足りないものがあり、

新卒薬剤師との店舗での関わりの中で、

たくさんのことに気付かされるのだ。

 

今まで『薬剤師の育成』ということをテーマに、

様々な活動をしてきたが、

OJTの意識は少なかったなぁと思わされた。

 

OJTとはOn-the-Job Trainingの略である。

いつものようにWikipediaから引用する。

OJT(On-the-Job Training、オン・ザ・ジョブ・トレーニング)または現任訓練(げんにんくんれん)とは、職場で実務をさせることで行う従業員の職業教育のこと。企業内で行われるトレーニング手法、企業内教育手法の一種である。

(引用:OJT - Wikipedia)

それに対してOff-JTというのがあり、

今までの私の育成に対する活動は、

どちらかと言えば、これにあたると思う。

ちなみに、Off-JTも引用する。

OJTとは、職場の上司や先輩が、部下や後輩に対し具体的な仕事を与えて、その仕事を通して、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって全体的な業務処理能力や力量を育成する活動である。

これに対し、職場を離れての訓練はOff-JT(Off the Job Training オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)と呼ばれる[1]。

(引用:OJT - Wikipedia)

 

今回、新卒薬剤師が当薬局に配属され、

OJTの指導経験がないことから、

カリキュラムがないことに気付いたのだ。

何とも恥ずかしい話である。

 

というのも、今までの当社の慣例としては、

4店舗のうち、比較的配属薬剤師が多く、

指導薬剤師のいる2店舗で研鑽を積んでから、

別の店舗に異動となるケースが多く、

私自身、指導薬剤師の資格がないこともあり、

新卒薬剤師を1年目から職場で指導する経験が

なかったのだ。

(ちなみに指導薬剤師は実習生の受け入れの際に必要な資格である)

 

目的の明確化

 

また、カリキュラムとともに、

目的や意味を明確にして対応する必要性についても

考えさせられることとなった。

 

というのも、

私自身が新卒で当社に入社した時には、

どちらかと言うと『習うより慣れろ』精神で、

積極的に周囲に質問したり、行動したりしていた、

と記憶していたからだ。

(当時の指導薬剤師は色々とカリキュラムに沿って指導していたかもしれず失礼な物言いかもしれないが)

 

そうした『習うより慣れろ』というものが、

全く必要ないとは思わないが、

より細やかな配慮をしながら、

新人に対応すべきだなぁと反省した次第である。

 

チームスポーツの世界であるように、

スタメン起用や選手交代の際に、

意図や目的などを説明する監督の心境に

近い気がして、昔サッカーの指導者になりたい

という夢を持って勉強していた頃を思い出した。

 

私が夢見ていた当時には、

ジョゼ・モウリーニョFCポルトを率いて

UEFAチャンピオンズリーグに優勝した時で、

モウリーニョの選手に対する配慮やきめ細やかさ

といった選手対応にスポットライトがあっていた

と記憶している。

 

思いつくままに書く中で、

当時を懐かしく思った次第だ。

 

当たり前だと思っていたこと

 

また、新卒薬剤師からの質問を受ける度に、

いかに自分が疑問に思わずに流れ作業のように、

日々仕事をしていたかと気付かされることがある。

 

なんでこうなのか?

なんでこうではないのか?

新卒薬剤師から受ける質問の度に、

「なんだこれもできるじゃないか」と自分の行動を

振り返るキッカケとなっている。

 

何ともありがたい限りである。

 

また、ひたむきに日々の仕事にあたり、

目の前の患者さんに丁寧に応対すると姿を見て、

新卒薬剤師だった頃の自分を思い出し、

今の自分を戒める意味でも、

本当にありがたいと心から思っている。

 

前の見出しで、サッカーの指導者の話を書いたが、

ことスポーツの世界で言えば、

『下からの突き上げ』や『切磋琢磨』といった

キーワードが使われる機会が多い。

 

世代を超えた競争があるからこそ、

チームは全体的にレベルアップし、

成長するというわけだ。

 

そう考えると、新卒薬剤師からの質問は、

私自身が成長する機会となっている。

そう考えると、新卒薬剤師を採用し、

人体でいう新陳代謝が、

会社という組織で繰り返されることが、

なにより大切なのだろうと感じた次第である。