~学びと気付きの場所作り~

◆地域での活動や、日々試行錯誤した事について書いています◆

属人的なもの

4ヶ月前のこと。

世間では新型コロナウイルスが猛威を振るい、

緊急事態宣言が出る前のこと。

 

お友達のフリージャーナリストが、

東日本大震災のことを取材するため、

釜石に来たこともあり、ほんの2時間ほどだが、

お話する機会があった。

 

その際、以前ブログに書いた

先代釜石医師会会長である工藤先生の言葉を

お伝えし、薬剤師として、医療従事者として、

釜石地域で働くことの魅力をお話させてもらった。

 

(参照:釜石を福祉の街に - ~学びと気付きの場所作り~)

 

その話をする中で、

話題にあがったキーワードがあった。

それは『属人的』というものだ。

 

なんとなく意味はわかるのだが、

あらためて調べてみることにした。

以下、あるサイトから引用する。

「属人」の読み方は“ぞくじん”。

ビジネスの世界で用いられる「属人」の意味には、大きく分けて二つの意味があります。

まず、よく使われるのが“業務が特定の人物のスキルに依存してしまう(また、その人物にしかやり方が分からなくなってしまう)こと”という意味。「あの人が対応しないとダメだ!」という状況です。

さらに、“業務が仕組み化されていないため、担当者の経験や勘に頼ること”という意味で用いられるケースもあります。

(引用:リダイレクトの警告)

なるほど、ビジネスの世界では、

引用にあるような使われ方をするらしい。

 

属人的と職人的

 

これは、あくまでも私のイメージの問題だが、

『属人』の意味を調べた上で思いついたのが、

『職人』であった。

 

上記の引用にあるように、

『属人』はネガティヴに捉えられる印象を受けた。

一方、職人芸とか職人技といった言葉があるように

『職人』という言葉はポジティブに扱われることが

多いように感じる。

 

あらためて『属人』と『職人』の辞書的な意味を

調べてみようと思い立った。

 

ぞく‐じん【属人】の解説
その人に属すること。法律などで、人を基本として考えること。⇔属地。

(引用:属人(ぞくじん)の意味 - goo国語辞書)

 

しょく‐にん【職人】の解説
自分の技能によって物を作ることを職業とする人。大工・左官表具師など。

(引用:職人(しょくにん)の意味 - goo国語辞書)

 

辞書で調べてみると、随分とイメージが違うな、

と感じた。先程、私のイメージと書いたが、

連想レベルだと思い知った次第だ。

 

医師会会長の話

 

釜石で働く中で、常日頃考えていることがある。

 

それは、今は医療や介護の風通しが良いが、

従事する人が変わった時、果たしてどうなるのか、

ということだ。

 

ブログにも書いた釜石医師会会長の話で言えば、

現会長の小泉先生は、外科出身ということもあり、

リーダーシップに長けており、また政治に詳しく、

他職種も尊重してくれ、私にとって、恩師でもある

最高の人物である。

 

御歳74歳になるがまだまだ元気であるものの、

よく話題にあがるのが、

「小泉先生にいつまでも会長をやってもらいたい」

といった声だ。

 

もちろん、いつまでもなんてことは不可能で、

いつか、いや、そう遠くないうちに、

会長が変わることになると思う。

(そんな話題は出ていないが)

 

『いつまで会長をやってもらいたい』という声は、

会長が誰になるかによって世界が変わってしまう、

といった不安の裏返しだと推測する。

 

かく言う私も、

そんな不安を全く抱かないわけではないが、

会長が変わることで変わる世界というのは、

果たしていかがなものか、と思っている。

 

現場レベルの話

 

先程は、医師会会長という大きな話題だったが、

日々働く中で、細かな部分で、

『この人じゃないとできない』仕事もしくは

判断といったものは存在しているのではないか。

 

『属人的』というかどうかは何とも言えないが、

それこそ判断には個性が出る気がする。

 

先日、実際にあった話を例にあげよう。

入社3ヶ月の新人薬剤師から相談があった。

患者さんから次のような相談を受けたというのだ。

 

ちなみに、患者の服用する薬は以下に記す。

アムロジピン錠5mg

ロスパスタチン錠2.5mg

メトホルミン塩酸塩錠500

この患者さんを仮にAさんとしよう。

Aさんは歯医者に通っており、歯医者から

次のように言われたというのだ。

 

「この黄色い薬のせいで歯茎が腫れている

 っていうので、そのことを病院で話しました」

 

すると以下のような処方に変わったようだ。

ニフェジピン徐放錠20mg

メトホルミン塩酸塩錠500

ここで、新卒薬剤師は疑問に思う。

『歯茎の腫れはCa拮抗薬の副作用ではないか』

おそらく、この事例では、多くの薬剤師が、

同様の考えを持つと思う。

 

そして新卒薬剤師から

「どう行動すればよいですかね?」

と相談を受けた。

ちなみに、相談を受けた時には、

Aさんは薬局を後にし、帰宅していた。

 

私の助言

 

おそらく、このケースであれば、

患者さんとお話する中で、疑義照会する、

という選択肢が一般的であろうと思う。

 

しかし、その歯茎の腫れがCa拮抗薬によるものか、

判断するのは、簡単なようで難しい。

 

私が、この相談に対して行った助言は、

「歯科医と情報共有してみたら?」

というものだった。

 

歯科医に対して服薬情報提供書を送付し、

Ca拮抗薬による歯科治療への影響を、

アセスメントしてもらえば良いのでは?

と考えたのだ。

 

具体的な服薬情報提供書の内容は、

ここでは省略するが、

歯のことは歯科医にアセスメントしてもらい、

その情報を得て薬の評価に繋げられればよいと

考えたのであった。

 

新卒薬剤師は、歯科医に情報提供書を書き、

その後、歯科医から処方医の元へ情報提供があり

処方内容が変更になったとのことだった。

 

患者からは感謝の気持ちを伝えられるとともに、

歯科医からの感謝も伝えられた。

 

システムや仕組み

 

上記の事例を挙げたのは、

こうした判断や行動は一般的とは言い難く、

もしかしたら、こうした判断や行動も、

属人的なものなのかなぁ、

といった疑問や問いがあったからだ。

 

属人的とされるスキルを、

どうやったら広く一般化するのか?

といった問いに対して、

よく語られる手法は、

システムや仕組みを作ることではないかと思う。

 

システム化、あるいは、仕組み化、

そうすると、多くの人が実践できるものになる、

確かにそうだろう。

 

しかし、システム化や仕組み化に至るまでが、

なかなか大変である。

 

文化と相続

 

システム化や仕組み化が難しいのであれば、

そうした判断や行動を、

文化レベルにまで高めれば良いのではないか、

と考える。

 

これまた、なかなか難しいのだが、

文化にするためのキーワードとして、

私が考えるのが、相続というものだ。

 

これは、五木寛之氏の著作である

『こころの相続』から得た発想である。

といっても、私は、この書籍をflierの要約でしか

読んでおらず、そんな状態で語るのも

いかがなものかとと思うが…

こころの相続 (SB新書)

こころの相続 (SB新書)

  • 作者:五木寛之
  • 発売日: 2020/07/07
  • メディア: 新書
 

 

判断と行動といったものを、

シェアすることで、

シェアされた人の心に相続される、

そんなサイクルが出来上がれば、

属人的なものも一般化されるのではないか、

そう思った次第である。

 

いつものように、駄文拙文であり、

ドタバタな文章であるが、

今考えていることを、

つらつらと書かせてもらった。

 

日記的なブログなのでご容赦いただきたい。