私の考える薬歴記載のあれこれ
昨日のブログの最後に、
電子薬歴を使いこなすには、
ということで3つの視点を書いた。
①臨床判断を磨くこと
②POS思考とSOAP思考に慣れる
③タイピング能力の向上
今回は、この3つについて、
もう少し詳しく言語化したいと思っている。
(国語力に乏しい私が言語化出来るか不安だが…)
なお、個人的にはMUSUBIへ変更して欲しいなぁ、
と新し物好きな私は、心から思っているが、
昨日も書いたように経営判断する立場にはなく、
今あるものをどのように駆使するかという視点で、
考えていることを付け加えておきたい。
臨床判断
①として挙げた『臨床判断』であるが、
ここでは岸田直樹先生の本でかかれているような、
臨床推論とは異なるものであることを、
はじめに述べておく。
1人あたりの薬剤師の処方箋枚数の規定として、
薬機法には(旧薬事法)40枚あたり1人とされている。
日本特有の、時間から考える仕事、
ということを考えると、
1日8時間=480分を40枚で割ると、
患者1人あたり10分ほどの時間となる。
その10分の間に、
調剤&監査&服薬指導&薬歴記載、
をしなければならないわけだ。
ちなみに、ここでは調剤の機械化や、
非薬剤師の話題は抜きにして考え、
服薬指導と薬歴記載にだけ話を絞る。
ここでの臨床判断とは、
目の前の患者さんの状態や、
処方内容から重症度や緊急度を、
多面的に判断することである。
『多面的に』としたのは、
病態生理の観点からなのか?
薬物治療の観点からなのか?
相互作用の観点からなのか?
薬物動態の観点からなのか?
といった具合に、
どの観点から重症度や緊急度を判断するのか、
様々な視点が考えられるからである。
臨床判断をして患者さんに対する時間のかけ具合を
調節することは可能だと思っている。
その為には、臨床判断とともに、
DCPAサイクル(PDCAサイクルのDOからのもの)
を回していく必要があると思っており、
DOは服薬指導であると思っている。
PDCAサイクル自体は今の変化が激しい世の中では、
遅いという意見もあるが、この点については、
また別の機会にでも言語化しようと思う。
POSとSOAP
②としてあげたPOS思考とSOAP思考であるが、
続けてあげる③タイピング能力の向上は、
繋がってくるので、それぞれ記載した後に、
最後にまとめていきたいと思う。
まず、そもそもPOSやSOAPって何か、
という定義の部分を記載する。
POSとはProblemOrientedSystemの略であり、
患者のプロブレムに着目しプロブレムに対して、
どのようのアプローチするかという解決技法の1つ、
とされ、アメリカで提唱されたものである。
POS思考を運用するためのフレームワークが、
SOAPとされている。
S:Subjective
O:Objective
A:Assessment
P:Plan
の略である。
1968年米国の医師L.Lweedにより提唱された問題解決技法の一つ.医師,看護師の標準的な記録(診療録(カルテ),看護記録)に利用されている.考え方の基本は,問題解決過程にあり,患者の主観的情報Subjective(S),患者の客観的な情報Objective(O),情報の分析過程,期待される結果Analysis/assessment(A),医療の計画Plan(P),と進めていく.POSのサイクルを繰り返しながらその過程を記録することにより,医療チームの中で情報の共有化がなされ,連携が強化される. POSは患者ケアに倫理性・客観性・継続性をもたらし,ファーマシューティカルケアを実現するための強力な手段となる.(2005.10.25 改訂)(2009.1.16 改訂)
(引用:POS - 薬学用語解説 - 日本薬学会)
こうしたPOSやSOAPであるが、
本質的に思考を理解した上で、
服薬指導ができているかが、
薬歴記載のスピードにも影響すると思っている。
その点を詳しく書いてある書籍として
次の書籍を添付しておく。
タイピング能力
③としてあげたタイピング能力であるが、
上記のように、②と③はセットの事項であり、
ここで『②と③はなぜ必要なのか?』を
記載していきたいと思う。
薬歴記載に限らず、
キーボードを叩いて文字入力する際には、
必須のことではあるが、
『思考して書く』という行為である以上、
『思考する』という行為と『書く』という行為に
わけてそれぞれのスピードをあげることでしか、
結果的に時間を生み出すことができないのは
自明のことである。
『思考する』行為が②
『書く』行為が③
ということだ。
ちなみに、③の行為には、
定型文を作成することも含まれている。
さてさて、いつものように雑な文章であるが、
①〜③で語っているのは、
薬歴記載の時間をどれだけ減らし、
そこで出来た時間を患者さんのために使い、
価値を創造することの基盤にやることである。
時間を作っても、その時間で薬局として、
あるいは薬剤師として価値を創造できなければ、
そもそも意味がないということにもなりかねない。
その点は注意が必要なのかなぁと思う。