~学びと気付きの場所作り~

◆地域での活動や、日々試行錯誤した事について書いています◆

服薬指導時に考えること

ブログを書いている最中に、

寝落ちしてしまい、

気付けば日付変更線をまたいでいた。

 

連続更新ならず、であるが、

また淡々とブログを書いていきたい。

 

新人教育の一環で

 

私の勤務する薬局に、

今年度入社した若者が配属されている。

 

4月〜6月まで、当薬局で働き、

3ヶ月毎に会社に属する4店舗を、

1年間かけて回る計画となっている。

 

まだ、薬剤師名簿に登録されていないため、

患者さんへの服薬指導指導はさせていない。

 

そんな中で、新人のモチベーションを保ったり、

実際に服薬指導するまでの研修も兼ねて、

ロールプレイや処方解析を行なっている。

 

今日は、新人教育としての、

服薬指導ロールプレイングで考えるべきこと、

についてつらつらと書いていきたいと思う。

 

なお、ロールプレイの際には、

実際の状況に近い状況で行うのが望ましい。

 

実際の投薬席にて、電子薬歴を見ながら、

薬袋や薬情や実際の薬に触れ、

感覚的にも慣れていってもらうことが、

重要であると考えている。

 

ロールプレイング内容の分類

 

新人に対して服薬指導のロールプレイをする際に、

様々なシチュエーションで、

様々内容の気付きが得られるものを、

題材としたほうがよいと思う。

 

(シチュエーション分類)

・シチュエーションによる分類

 →OTC対応or処方箋対応or相談対応

 →店内混雑or電話問い合わせ

・処方箋記載薬剤による分類

 →処方箋記載の薬剤の種類が少ないor多い

 →処方箋記載の処方日数が少ないor多い

・患者による分類

 →新規患者orかかりつけ患者

 →本人来局or代理受け取り

 →1人分or2人分or3人分(以上)

 →対面orオンライン

・患者の性質による分類

 →患者の年齢

 →患者の病識や薬識

 

ざっとあげただけでも、

これだけの要素で様々なシチュエーションを、

設定することができる。

(分類としたが果たして…と疑問符もつくが…)

 

服薬指導の前に

 

ここからは、私個人の見解や意見が、

多分に含まれていることを、

まずは断っておきたい。

 

なお、薬局毎に環境が異なったり、

人員配置や業務効率などが異なったりするので、

その点も考慮いただければと思う。

 

こんな私のクソみたいなブログでも、

読んでくれる読者がいるからだ。

 

さてさて、いつものように前置きが長くなったが、

何を考えているか書いていきたいと思う。

 

服薬指導の前に薬歴をチェックする。

その際には、前回の薬歴や、

患者背景が書かれている部分(患者特記や患者メモ)

を確認し、患者さんとの会話を想像する。

 

前回の薬歴から確認する点を、

箇条書きにして列挙していきたい。

・処方変更点(成分、用法、用量)

・同じ処方の場合は前回来局日と前回処方の日数

・前回の薬歴記載内容(SOAPのSや申し送り事項)

・前回薬歴のSに書かれている症状&訴え&認識など

・前回薬歴の患者症状は客観的データ表記可能か

・データ表記が可能な場合にデータ聴取されたか

・前回薬歴の訴えは随伴症状や強度や頻度等あるか

といったことを確認しているつもりである。

 

患者背景が書かれている部分から、

服薬指導前に確認している点を、

これまた箇条書きにして列挙していきたい。

・患者の性格や性質(心配症か?健康意識高いか?)

・患者の体質や身体的特徴(運動機能や感覚器機能)

・家族構成や家族背景(独居か?家族との同居は?)

・仕事をしているか(職業の内容は何か等)

・生活状況(何回食事?睡眠状況は?)

・既往病歴や家族病歴

・飲食嗜好と摂取頻度やさなどの状況

・検査結果の記載あるか

といったことを確認しているつもりである。

 

なお、患者背景に関しては、

薬歴の履歴から、より普遍性の高いものを、

ピックアップして記載するようにしている。

 

どんな事例を取り上げたか?

 

抽象的な話を書いてきたが、

実際に、昨日行ったロールプレイで、

どんな事例を取り扱ったか、

記憶の限り紹介していきたい。

 

昨日のテーマは、

『来局間隔に着目しよう』

と称して、2名の患者さんを取り上げてみた。

 

シチュエーションとしては、

薬剤師が1人しかいない状態で、

患者が2名待合室で待っている、

というもの。

 

2名連続で服薬指導をする、

といった状況である。

 

投薬カゴを投薬席に運ぶところからスタートした。

 

(1人目)

80歳代女性

処方内容

①ベオーバ錠50mg 1錠

    1日1回朝食後 30日分

②ザルトプロフェン錠80mg 3錠

 メチコバール錠500mg 3錠

 1日3回毎食後 60日分

 

(2人目)

30歳代男性

処方内容

①アロプリノール錠100mg 2錠

 1日2回朝夕食後 30日分

②ロキソプロフェンNa錠60mg 3錠

 レバミピド錠100mg 3錠

 1日3回毎食後 14日分

③ロキソプロフェンNaテープ100mg 70枚

 1日1回右足関節に貼付

 

こんな事例を取り上げてみた。

処方内容を見るだけでも、

様々な視点から突っ込みどころがある。

 

上記の通り、テーマが来局間隔であるので、

どんな状態であったか、補足する。

(1人目)

・前回来局日は約2ヶ月前

・前回処方は同じ内容で①は14日分

 ②は30日分であった

・薬歴には調節服用している旨記載あり

(2人目)

・前回来局日は約1年前

・前回処方は同じ内容

・薬歴には定期的に受診しない旨記載あり

 

こんな感じである。

2名とも私が患者役を務めた。

実際に私が服薬指導した患者さんを演じたので、

患者さんの様子を正確に再現しながら、

ロールプレイ後に実際の私の服薬指導内容を伝え、

気付きを共有した。

 

ちなみに実際の患者さんの様子について言及する。

 

(1人目)

調節服用しながらも、

排尿状況に満足しており、処方元の医師は、

薬を調節して飲み様子見るよう患者に伝えている。

患者からは調節して問題ないのか、

薬剤師に対して質問があった。

ロールプレイ時にも実際の質問として、

「先生は調節して良いって言うんだけど、

 薬剤師さんはどう思いますか?」

と投げかけ、新人がどのように回答するか見て、

フィードバック時に、

なぜそのような回答をしたか思考理由を確認した。

私自身がどう考えて、どのように服薬指導したか、

と言うと以下の通りである。

・患者と医師間の関係性を考えた。

・医師の性質(調節服用指示)を考慮した。

・薬物動態的に調節服用に適している薬剤か?

 薬剤師の視点から判断した。

 添付文書からは定常状態のある薬であり、

 薬剤特性からは毎日服用することが、

 効果的である旨伝えた。

・排尿に対する患者満足度を考慮し、

 調節服用で不満がないのであれば、

 それでよい旨伝えた。

・併用薬もなく年齢的にも、

 老年症候群によるものの可能性が高く、

 対症療法的な側面も大きいと思われる。

・添付文書の臨床試験成績を見て、

 患者満足度と照らし合わせた。

 

恥ずかしながら、こんなことを考えて、

患者さんと対話した。

ロールプレイで薬剤師役をした新人も、

結果的には同様の対応(調節服用でよい)を、

していたが、フィードバックでは、

薬物動態や臨床試験成績について話をしたり、

私が考慮した部分を伝えた。

 

(2人目)

薬を飲み始めると一生薬を飲んで、

薬漬けになると思っており、

痛風発作が起こる度に受診する、

といった患者背景がある。

直近の尿酸値は10とのこと。

ロールプレイ時にも、実際の質問として、

「この薬飲み始めると、

 ずっと飲まなきゃならないんでしょ?」

と投げかけ、どのような回答をするか確認し、

フィードバック時に、対話しながら、

理解を深めていった。

私自身がどのように考え、どのように服薬指導を、

したかと言えば以下の通りである。

生活習慣病であるため、生活習慣の是正で、

 薬物治療なしでもコントロールすること自体は、

 可能である旨伝える必要があると判断した。

・尿酸値のコントロールは、

 痛風発作の予防の観点だけでなく、

 心臓や腎臓のイベント予防の目的がある旨、

 患者に理解してもらう必要があると判断した。

・過去の薬歴を見る限りは、

 受診間隔があいており、発作の度に受診する、

 ということを繰り返しており、その度に、

 同様の服薬指導を繰り返しており、

 行動変容のステージ理論的には、

 無関心期の状態であると判断した。

・患者の抱いている気持ちに、

 フォーカスする必要があると判断したが、

 なかなか難しいと思われた。

 

恥ずかしながら、

また突っ込みどころ満載であるが、

こんなことを考えて服薬指導をした。

1人目にも共通するが、

新人は来局間隔に着目しておらず、

その点を意識する重要性は伝えられたかな、

と感じた次第である。

また、1人目は対症療法的な意味合いが強いが、

2人目は生活習慣病の予防的な観点があり、

そうした違いを意識してもらおうと考えての、

事例のチョイスであった。

その意図を伝えることで、

新人にもその点意識してもらえたらと思う。

 

患者役をしてみて

 

結局抽象的な内容となってしまったり、

紙面上でうまく伝わるかわからないが、

実際のロールプレイ場面を取り上げてみた。

 

今回患者役として新人の服薬指導を見てみて、

服薬指導時に薬剤師が、

パソコン場面を見る時間が気になってしまった。

 

ロールプレイなので、

私自身どうしても薬剤師的な視点で、

見てしまうのかもしれないが、

おそらく実際の患者さんも気になるのだろう。

 

ロールプレイではそうした気付きが得られるのも、

新人教育としてだけではなく、

教える側の学びにもなるなぁと感じた次第である。

 

重ね重ねとなるが、

処方内容については、

突っ込みどころが満載であると思うし、

紙面上で患者の状況を考慮しても、

様々な解釈ができると思う。

 

また、ロールプレイをいくらしたとしても、

実際の場面や状況下で

目の前の患者さんに対峙した者でないと、

わからないことがあると思っている。

 

それを言ったら元も子もないが、

そんなものである。

 

結果論で後から何とでも言えることが、

この世の中にはたくさんあり、

当事者が何を考えてどう行動したか、

それを言語化できるかどうかが重要である、

と私自身は認識しているので、

今後もこのようなロールプレイをしていきたい、

と思っている。