漫画『蒼のアインツ』を読んで
今回は薬剤師とか関係ない、
私のどうとでもない過去の話を書いていきたい。
先日久しぶりにkindleで漫画を探している最中、
ある作品に出会った。
『蒼のアインツ』である。
サッカー漫画は数多くあるが、
現在連載中のもので、
主人公のポジションがGKなのはこの漫画くらいだと思う。
その昔、
『オフサイド』というサッカー漫画があった。
1987年〜1992年まで連載されていたが、
当時は珍しく主人公のポジションはGKだった。
確か全29巻のうち5巻くらいで主人公の熊谷五郎はFWに転向してしまうのだが、
当時のGKといえば『汚い・キツイ・危険』の3Kだっで地味なポジションだっただけに、主人公のポジション変更の案が出たのだろうと推測する。
攻めた設定だなと感じていただけに主人公のポジション変更は残念ではあった。
今でこそ、
川口能活選手
楢崎正剛選手
といった日本代表選手の活躍や、
Jリーグやサッカー日本代表や海外サッカーが日本人にとって身近な存在になってきたこと、
芝生のグラウンドが整備されるなどの環境面の変化もあり、
1982年生まれの私が学生時代よりはGKに対する理解も進んできていると感じる。
今回『蒼のアインツ』読んだわけだが、
学生時代の思い出が蘇ってきたので、
つらつらと書き記したい。
GKとの出会い
小学校5年生の時、当時Jリーグの清水エスパルスにいたGKシジマール選手を見て、胸が高鳴った。
「GKをやりたい」
その気持ちを抑えることが出来なかった。
Jリーグ創世記、
スター軍団の名を欲しいままにしていたヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ1969)との試合で、
スコアレスのまま決着がつかずPK戦へ。
(当時は45分ハーフ前後半で決着がつかない場合は、15分ハーフでVゴール方式の延長戦を行い、それでも決着がつかない場合にはPK戦で完全決着をつけるレギュレーションだった)
シジマール選手はヴェルディ川崎の5人目・石川康選手のキックをセーブするも、
石川選手が蹴るよりも早く動いたとされ、
もう一度石川選手のキックを受けることになった。
そこで再度セーブしたわけだが、
その姿に私は魅力されたのだ。
(一応GK経験者として言えるのは、PKで同じキッカーから2回連続シュートを受けて、2本とも止めるのは至難の技であると思う)
それからの私はGK一筋。
当時というか今もそうかもしれないが、
好き好んでGKをやるというやつは珍しかった。
私の周りには1人もいなかった。
小学校のサッカークラブでは、
同じ学年にGKは私1人。
(ちなみに、中学校でも同学年のGKは私1人だったし、高校では同学年にGK経験者がいたものの、彼はFWに転向してしまった…そういう意味では、ずっと1人ぼっちだったな…)
小学校のクラブにはコーチがいたが、
コーチと言っても選手の親御さんがやっていたこともあり、GKのことを教えることのできる人はいなかった。
その当時Jリーグがはじまって、
プロでこそGK専門のコーチはいたものの、
小学生年代のチームにGKコーチがいるなんて考えられなかった時代である。
日本はそんな状況であったが、
南米や欧州に至っては、
GKコーチがいることは当然のようだったと書籍にて確認している。
自分1人しかGKがいなかったのと、
GKコーチがいなかったこともあり、
GKトレーニングの書籍を買って自分で読むくらいしかなかった。
父親に頼み込んGKの専門書を購入し、
穴が開くほど読んでいたことを思い出す。
また、今と違ってYoutubeもなければDVDもない時代。あるのはVHSくらいのものである。
Jリーグ以外で海外サッカーを観る機会などW杯くらいしかなかった。
欧州チャンピオンズリーグ(私が小学生時代は欧州チャンピオンズカップ)も知らなければ、
TOYOTA CUP(現FIFAクラブW杯)もまだ知らなかった。
映像環境が現在のように整っていなかった頃、
はじめて見たサッカーの主要大会は、
1994年アメリカW杯であった。
私は当然のごとく、
各国のGKの活躍に酔いしれていた。
メキシコのカンポス
イタリアのパリューカ
優勝したブラジルのタファレル
などなど。
普段見ることの出来ないスーパーセーブを目に焼き付けイメージトレーニングをしながら練習したものだった。
サッカー漫画の存在
映像はJリーグとW杯くらいのものだった時代。
そんな私のモチベーションに関係していたのは
漫画だった。
『蒼き伝説シュート』
『Jドリーム』
などなど。
作中のGKを見て自分に投影しながら、
日々練習していた気がする。
『俺たちのフィールド』では末次浩一郎が好きだった。
主人公の高杉和也との最初の出会いの時、
GKとしては低身長ながら、
抜群の身体能力と動体視力と圧倒的な努力量で
セービングし続けた。
私は身長が低いので、低身長ながらGKとして輝きを放つ末次の活躍に胸躍らせていた。
高校卒業後にイタリアに渡ってACミランの正GKまで成長する末次のようにイタリアに行きたいと思っていたっけ…
『蒼き伝説シュート』では草薙京悟が好きだった。
白石健二じゃないのかと思われるかもしれないが、
末次同様イタリアにいるというところに惹かれたのかもしれない。
原作の草薙を真似て大した実力もないのにバンダナを巻いてGKをしていた痛いやつ、それが私だった。
イタリアに関係のあるキャラを好きになったのは、
中学生時代にフジテレビで深夜にやっていたセリエAダイジェストの影響もあったと思う。
当時はW杯でもイタリアを応援したりしていたなぁ…
そんな漫画のキャラクターに自分を投影しながら、サッカーをしていた痛いやつだったが、
色々なサッカー漫画との出会いがあったからこそ、
サッカーに対する興味を掻き立てられたし、
サッカーの奥深い世界を知ることができた。
今連載中の漫画の中にも沢山の面白い作品がある。
『アオアシ』
『フットボールネーション』
私がkindleで購入しているのは以上の4作品であるが、他にも面白いサッカー漫画は沢山ある。
現在のサッカー漫画はGKやCBや監督が主人公のものもあり、サッカーの世界の入り口として興味深いものが多いと感じる。
それこそ昔であったらヒット作品に繋がらないかもしれない設定である。
私が学生時代にサッカー漫画から沢山の力をもらったように、
『蒼のアインツ』を読んでGKに興味を持つ子が少しでも増えれば良いなと思う。