~学びと気付きの場所作り~

◆地域での活動や、日々試行錯誤した事について書いています◆

1日1論文〜1日目〜

AHEADMAPの会員なのに〜

というくだりは以前のブログで書いたわけだが

ほんとに会員を名乗っていてもいいのかと

穴があったら入りたい気分である

 

そんな私が

タイトルにもあるように

このたび1日1論文を読もうと心に誓い

そしてそれをブログに書こうと自らに課すことにした

ここに宣言することで退路をたとうと思う

 

何の論文を読むか

 

これまた白状したいことがある

毎年、月刊誌『薬局』の1月号である

『EvidenceUpdate』を購入しているが

ろくに読めていない自分がいる

 

この特集では引用文献にほぼ必ずPMIDがついているので、引用論文を毎日1個ずつ読んでいこうと思う

 

このペースでは一冊終わらないのであるが…

まぁ無理なくはじめてみようと思う

 

というわけで1日目

名郷先生の2019年論文ベストテンの1つ目の論文である

 

PMID:30297499

 

ジャーナルサイトに飛ぶと

おぉ全文読めるではないか

ここ最近全部読めないものばかりだったので

若干緊張するが自分自身のために読んでいきたい

 

Acetaminophen and Febrile Seizure Recurrences During the Same Fever Episode
Shinya Murata, Keisuke Okasora, Takuya Tanabe, Motoko Ogino, Satoshi Yamazaki, Chizu Oba, Kohsuke Syabana, Shouhei Nomura, Akihiko Shirasu, Keisuke Inoue, Mitsuru Kashiwagi and Hiroshi Tamai
Pediatrics November 2018, 142 (5) e20181009; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2018-1009

 

ざっとAbstractを読むとrandomizedとあるので

恒例の『10分で論文を読むワークシート〜ランダム化比較試験〜』を使用する

 

・ランダム化されているか?

前述のようにAbstractのMETHODS 1行目

In this single-center, prospective, open, randomized controlled study,〜

とありチェック完了

 

・論文のPICOは何か?

P : In this single-center, prospective, open, randomized controlled study, we included children and infants (age range: 6–60 months) with FSs who visited our hospital between May 1, 2015, and April 30, 2017.

(Google翻訳)

この単一施設、前向き、オープン、ランダム化比較試験では、2015年5月1日から2017年4月30日までに当院を訪れたFSの子供と幼児(年齢範囲:6〜60か月)を含めました。

I : The effectiveness of acetaminophen was examined by comparing the recurrence rates of patients in whom rectal acetaminophen (10 mg/kg) was administered every 6 hours until 24 hours after the first convulsion (if the fever remained >38.0°C) to the rates of patients in whom no antipyretics were administered. 

(Google翻訳)

アセトアミノフェンの有効性は、直腸アセトアミノフェン(10 mg / kg)を6時間ごとに投与した患者の再発率を、最初の痙攣(発熱が> 38.0°Cを維持した場合)から24時間後までの患者の率と比較することで調べました 解熱剤が投与されていない人。

CNo placebo was administered to controls. 

(Google翻訳)

プラセボは対照に投与されませんでした。

O : The primary outcome measure was FS recurrence during the same fever episode.

(Google翻訳)

主な結果の尺度は、同じ発熱エピソード中のFS再発でした。

 

・一次アウトカムは明確か?

The primary outcome measure was FS recurrence during the same fever episode. 

一次アウトカムは明確である

 

・真のアウトカムか?

FS(febrile seizures:熱性けいれん)の再発である

私は我が子の熱性けいれんを経験したことはないが

経験者のエピソードを聞くと

親としてはかなり焦ってしまうようだ

熱性けいれんについて『今日の臨床サポート』で調べてみた

概要・推奨

疾患のポイント:
熱性けいれんは生後6カ月から6歳ごろに後発する発熱に伴うけいれん性疾患である。
家族歴がある場合は発症のリスクは高くなる。
発症率は3.4~11%という報告がある。
その他の小児のけいれん・意識障害については別項( けいれん・意識障害(小児科) )を参照にしてほしい。
 

診断: >詳細情報 
発熱に伴うけいれんで、髄膜炎、急性脳炎・脳症、てんかん代謝疾患などの可能性を除外することによって診断する。
消化器症状が認められた場合で、けいれんが群発している場合には胃腸炎関連けいれんとして対処する。
けいれん頓挫後も意識障害が持続する場合、けいれんの種類が片側であったり、部分的なけいれんであったり、けいれん重積を認めた場合は、頭部CT・脳波、髄液検査などのてんかん髄膜炎などの評価を行うことが望ましい。
 

重症度・予後: >詳細情報 
全身性強直間代けいれんであり、重積に至ることはまれである。
単純型の熱性けいれんであれば、半数以上の人が1回のみである。また、てんかん発症のリスクは2.0~7.5%程度であり、一般人口における発症率よりは高いが90%以上が発症しない。
 

治療: >詳細情報 
けいれんが持続している場合には下記のけいれん重積状態の治療手順に従ってけいれん頓挫を試みる。
けいれん重積状態の治療手順:
腸炎関連けいれんと考えられた場合にはテグレトール単回投与(5mg/kg)を実施する。
 

予防投与:
1回ないしは2回の熱性けいれんでは経過観察のみでよい。
15分以上熱性けいれんが持続した場合、以下の適応基準を満たした場合は、ジアゼパムの予防投与を実施する。37.5℃以上の発熱が出現したときに、ダイアップ0.4~0.5mg/kgの坐剤または同量のジアゼパム散剤を1回目投与を行い、8時間後にも発熱が持続している場合には再度投与を行う。
発熱時のジアゼパム投与の適応基準:
1. 遷延性発作(持続時間15分以上)
2. 次の i ~ vi のうち2つ以上を満たした熱性けいれんが2回以上反復した場合
i. 焦点性発作(部分発作)または24時間以内に反復する
ii. 熱性けいれん出現前より存在する神経学的異常、発達遅滞
iii. 熱性けいれんまたはてんかんの家族歴
iv. 12カ月未満
v. 発熱後1時間未満での発作
vi. 38.0℃未満での発作
38.0℃以下の発熱で熱性けいれんが2回以上出現した場合、遷延性の熱性けいれんの既往があり、発熱に気付きにくい場合、遷延性熱性けいれんの既往があり、ダイアップの予防投与を実施していたにもかかわらず、再発してしまった場合には抗てんかん薬の内服を開始する。抗てんかん薬としてはフェノバルビタールを3~5mg/kg/日 分1ないしは分2で投与、バルプロ酸は20~30 mg/kg/日を分2で投与する。
 

専門医相談のタイミング: >詳細情報 
頻回に熱性けいれんを繰り返す場合、無熱性けいれんが出現した場合には、神経専門医に紹介をする。

 

出典:

今日の臨床サポート・熱性けいれん(小児科)・

著者: 高橋長久

東京大学 生殖・発達・加齢医学専攻 小児医学講座

監修: 五十嵐隆

国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2017/03/31

極一部ではあるものの

てんかん発症のリスクがあることを考えると

熱性けいれんの再発は避けたいと願う親が多いのではないだろうか

そう考えれば真のアウトカムとしたい

 

・盲検化されているか?

In this single-center, prospective, open, randomized controlled study, we included children and infants (age range: 6–60 months) with FSs who visited our hospital between May 1, 2015, and April 30, 2017.

盲検化はされていない

『prospective, open, randomized』→PROBE法か?

 

・ランダム化は最終解析まで保持されたか?

 

→ITT(Intention-to-treat)解析されているか?

 記載なし

 PDF化して検索しても見つからず

 

→結果を覆すほど脱落者がいるか?

 I (介入)→229 received rectal acetaminophen

                   219 analyzed

                   10 excluded from analysis

                        7 protcol nonadherence

                        3 lost to follow-up

 

 C(比較)→209 received no antipyretics

                   204 analyzed

                   5 excluded from analysis

                        3 protcol nonadherence

                        2 lost to follow-up

 

 結果を覆すほどの脱落はいない

 

・RESULT

In the univariate analysis, the FS recurrence rate was significantly lower in the rectal acetaminophen group (9.1%) than in the no antipyretics group (23.5%; P < .001). Among the variables in the final multiple logistic regression analysis, rectal acetaminophen use was the largest contributor to the prevention of FS recurrence during the same fever episode (odds ratio: 5.6; 95% confidence interval: 2.3–13.3).

 

感想

 

日本の診断基準として

上記のように『今日の臨床サポート』から引用したわけだが

診断: >詳細情報 
発熱に伴うけいれんで、髄膜炎、急性脳炎・脳症、てんかん代謝疾患などの可能性を除外することによって診断する。

消化器症状が認められた場合で、けいれんが群発している場合には胃腸炎関連けいれんとして対処する。

open blindの研究なので診断基準は確認した方が良いと思われる

METHODSのこの部分かな…

Procedure
Baseline characteristics, including age, sex, past history of FSs, history of FSs in a first-degree relative, duration between onset of fever (>38.0°C) and initial FS, duration of seizure, body temperature on first arrival at our hospital, and laboratory data (white blood cell counts, hemoglobin, hematocrit, and platelet counts as well as the C-reactive protein, creatinine, albumin, sodium, potassium, chloride, and blood sugar levels) on first arrival at our hospital were recorded at study entry. Blood samples were collected from each patient before the administration of acetaminophen on arrival. Parents were instructed to bring the children back to our hospital immediately if the FSs recurred. Parents were also instructed to record the number of acetaminophen administrations and to send us this information on a postcard after the fever resolved. If we did not receive the postcard, an investigator contacted the parents to obtain the required information. We also checked adherence to the study protocol through the postcards and telephone interviews.
Patients With Diarrhea
Patients with diarrhea were excluded from random assignment because of difficulty in administering the suppositories. In addition, some of these patients were considered to be better categorized into other clinical entities such as convulsions with mild gastroenteritis (CwG).11 For patients with diarrhea, we checked the seizure recurrence rate during the same fever episode and compared it with the rate from patients without diarrhea who were included in our randomized trial.

まぁ日本の研究なので『今日の臨床サポート』の診断基準がずれていることはなさそうか…

下痢の患者は座薬が使えないために除外と記載されている

アセトアミノフェン坐剤の用量も日本の添付文書上のものであり日本の患者に適用する際にも問題ないようか

名郷先生も紙面で言っていたが、odds ratioを見るとアセトアミノフェン坐剤を考慮したくなる結果かと思う

しかし、研究の除外基準に2回以上の最近の熱性けいれん経験(てんかんを除外するためか)とあるが(他の基準もある)頻繁に発症する患者さんのご家族を思うと、親として気が気でないのではないかと思ってしまう

 

感想が相変わらず薄っぺらいが

そこらへんはご容赦いただき

今後も継続していきたいと思う