~学びと気付きの場所作り~

◆地域での活動や、日々試行錯誤した事について書いています◆

薬剤師の判断と行動(事例紹介)

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何のための薬ですか?

 

薬局で様々な患者さんを相手にしている中

数年間〜数十年

同じ薬をずっと飲み続ける方に出会う

 

そういった方に

「この薬は何のために飲んでいるのですか?」

と質問することがある

 

医師の説明をどれだけ理解しているか確認するために質問したり

そういった「この薬何のため」が

過去の薬歴に埋もれていて頭書きに反映されていない時に質問したり

薬歴に書いてあったとしても時が経って患者の解釈が変化していないか確認するために質問したり

目的は様々だが

総じて『患者の認識』を確認するためである

 

約10年間エチゾラムを服用していた患者

 

50歳代 女性

・高血圧治療薬

脂質異常症治療薬

・ゾピクロン錠7.5mg (1日1回夜寝る前)

エチゾラム錠0.5mg (1日2回朝食後・夜寝る前)

(最近の症例なので大体の記憶で記載)

 

この患者に

「ところでエチゾラムはいつから何のために飲み始めたんですか?」と質問してみた

(もちろん電子薬歴なのでいつから服用しているのか確認した上での質問である)

すると

「震災後に肩こりというか肩が重いのと、腕が痛い感じがあって、眠れないのもあったし、先生に相談したらこれを飲んでみろって」

と回答があった

 

エチゾラムには筋弛緩作用があり

また震災後というタイミングも考えると抗不安作用に期待しての処方だったのだろうと

薬剤師なら誰もが判断すると思う

 

次に

「そうだったんですね、このエチゾラムには筋肉の緊張を和らげる働きがあるのですが、効き目を感じていますか?あと、飲み方はこの通り(用法通り)ですか?」

と質問すると

「そうね、効いているのかって聞かれると何ともよくわからないですね、1日2回で1回1個ずつ、この通り飲んでますよ」

と回答された

 

ここで

回答に嘘はないのか疑問に思うことは

薬剤師なら何度も経験していると思うが

今回の例では過去の薬歴を見る限り患者の発言に疑わしい点はないと判断し

エチゾラムの依存や耐性の話をした

こういった話をする際には次のような表現をすることが多い

「〜といったことが起こる可能性があり、全国的に問題になっています」とか

「〜といったことが起こる可能性があり、他の患者さんでもこうした方がいらっしゃいます」とか

隣人などを例に出して

患者が想像しやすくしているつもりである

身近な出来事として捉えてもらいたいからだ

(もちろん患者によっては誤解を招くことになるので状況によって別の表現をすることもある)

 

今回の患者は私の説明に続けて

沢尻エリカのニュースを見て、私の飲んでいる薬は大丈夫かなあと心配になっていました、前からやめたいなと思ったこともあったのですが、何だか面倒だし、いいかなと思ってしまって、これを機にやめようと思います」

エチゾラムをやめたい

という気持ちを確認したがBZD系薬剤であるため

急激な減量もしくは中止による離脱症状も心配だった

離脱症状について説明した上で徐々に減量することを患者に提案

「まずは1日1回1錠に減らして1ヶ月間様子をみましょう」と伝え患者も快く同意してくれた

 

服薬指導内容を共有

 

さてここまで読んでいただき

薬剤師が勝手に減量指示出して良いの?

と思った方もいるのではないだろうか

 

確かに今回紹介した事例は

薬剤師と患者の対話の結果

薬剤師の判断で行ったことであるが

上記の減量提案の後に何をするかが重要である

 

まずは処方医に服薬指導内容をまとめた服薬情報提供書を作成

・患者との対話の中で薬をやめたいという気持ちを確認したこと

・減量する際には離脱症状発症予防のために徐々に減量する必要があること

・薬剤師の判断で次回受診日までの1ヶ月間は1日1回1錠ずつ服用して様子を見ること

主にこの3点を記載したものを送付した

 

また減量提案して約2週間後に患者宅に電話し

・体調変化がないか?

・気持ちの変化はないか?

確認した

 

その後どうなったか

 

次回受診日

患者が当薬局に来局する前に

処方医から服薬情報提供書の返事がきた

その後患者が来局し処方箋を見ると

処方箋内容は減量提案を受けてのものになっていた

 

患者とその後の減量プランを話していると

「できればゾピクロンの方もやめたいんですよね」

睡眠導入剤に対する気持ちを確認できた

現在エチゾラム減量とゾピクロンの処方について

上記のように患者と医師と対話や情報共有をしている最中である

またの機会にその結果を紹介したいと思う

 

さて

今回紹介した行動をとった背景を記載す必要があると思うので以下に箇条書きにて記す

・処方医は門前の医師であり、すでに信頼関係が構築されていること

・処方医は薬の中止の際は一気に中止としてしまう傾向にある(過去の別の患者さんの例であるが)

・処方医が過去にBZD系薬剤を一気に中止した際に離脱症状が起こった患者は薬局で確認する限りはいない

以上3つの背景があるため

前述の『薬剤師の判断で減量提案』という行動が成立していることは強調しておきたい

 

もし今回の事例の処方医が

あまり信頼関係のない医師からの処方箋であれば

別の行動をとっていただろう

 

具体的には

薬剤師の判断で減量提案するらのではなく

患者から減量意思を確認した場合には

「わかりました、この薬は徐々に減量する必要があり、減量したいという気持ちは処方医の先生とも共有しながら進めていく必要があります、差し支えなければ、私の方から先生に手紙を書いて送っておきますがよろしいですか?」

と同意を得て

医師の意向を確認しながら慎重にやるだろう

 

こういった連携にあたっては

言った言わない

という点で

まるで国会答弁のような

不毛な争いを生むこともあるので注意が必要である

 

この事例の課題は

 

今回の事例を紹介する中で感じたのは

そもそも連用しているとはいえ

エチゾラム1mgを減量する際に離脱症状は出るのか

という点である

 

つまり

どれくらいの量のエチゾラムをどのように減量すると離脱症状が出やすいのか

ということであり

その点を調べずに上記の対応をしてしまったことは

私の中では薬剤師としてどうなのか

とツッコミを入れたいところであり

他の薬剤師の先生方から突っ込まれることを考えると事例紹介すべきか悩んだ

 

尊敬するAHEADMAPの会員である薬剤師の方々のように

私はまだまだ論文情報を上手に活用できていない

という自負がある

まだまだ成長の余地がある

という意味では良いのだが

上記のように自分の行動に自信がなくなることもあるのだ

 

今回紹介した事例に色々と突っ込みどころがあるかと思うが

こう見えてメンタルが弱いところもあるので

お手柔らかにお願いしたいところである