~学びと気付きの場所作り~

◆地域での活動や、日々試行錯誤した事について書いています◆

マクロな視点で考えよう

以前、釜石コンテントの活動を何故始めたのか?

について書かせていただきました。

 

manabi-to-kiduki-no-bashodukuri.hatenadiary.jp

 

釜石にもともとあった顔の見える関係を活かすために、

薬剤師の能力を上げる必要がある。

そう感じたことが理由の一つでした。

 

今回は、

・釜石コンテントを始めたもう一つのキッカケ

・釜石コンテントとは何か(活動内容など)

・釜石コンテントを続けることで考えるようになったこと

を述べたいと思います。

  

勉強会を始めたもう一つの気付き

 

以前のブログで書いたもの以外にも、

有志の勉強会を開催するに至ったキッカケがあります。

 

それは、釜石市の勉強の場の偏りに気が付いたことです。

 

もちろん勉強なんて、自ら率先してするものだ、

というご意見があるのは重々承知しております。

 

確かに、自ら勉強することほど、素晴らしいことはありません。

しかし、どうしても、内容に偏りが出たり、内容を活かす視点にかけていたり、

1人で学んでいると、そういったことがおこってしまうのではないでしょうか。

 

私が釜石に移住した当時、釜石市で開催される勉強会(医療系)は、

釜石医師会学術講演会のみ、といっても過言ではありませんでした。

 

内容は、医師向けのものであるのはもちろん、全て座学であり、

講師の方次第で内容にばらつきがありましたし、

何より製薬メーカーが協賛しているので、

メーカーが不利になるようなものは話されません。

 

そんな折、たまたま縁があって参加した市外の研修会で、

単なる座学だけではなく、実践を伴った内容に触れ、

自分の中で、知識を実践する意識が身に付きました。

 

その後、患者さんとのお話の中身や質が変わっていく実感を得るとともに、

薬剤師の能力を上げることで地域医療に貢献できるのでは?

という以前のブログに書いたキッカケにたどり着くこととなります。

 

平成27年の3月に初めての勉強会を開催し、

薬剤師向けの内容は、薬物動態について5回企画しました。

内容は、岩手県出身の菅野彊先生の著書や、

私も所属している、どんぐり未来塾さんの活動も参考に、

運営メンバーで考えました。

 

http://donguri-ph.org/

NPO法人どんぐり未来塾 ホームページ)

どんぐり未来塾の薬物動態マスター術

どんぐり未来塾の薬物動態マスター術

 

 

薬物動態以外では、

ケアカフェで共に活動しているケアマネージャーさんに、

市内の薬剤師と薬局勤務の事務対象に、

市内の介護の現状や、薬局関係者に知ってもらいたい介護情報について、

お話していただいた会もありました。

 

平成27年度は、全部で8回開催。そんな1年を経て、

平成28年度からは、薬物動態以外の内容も企画するようにしました。

 

改めて、釜石コンテントって何?

 

薬剤師の存在価値が問われる昨今、

私たちの能力向上は必須となっております。

しかし、日々の業務の忙しさ、または、家庭の状況など、

なかなか勉強することができないのが現状かと思います。そこで、

誰もが気軽に勉強することができる場所作りが必要だと考えました。

それが、有志の勉強会、釜石コンテントです。

コンテントは名詞として使われる場合は内容、

動詞としては満足させる、という英単語から取りました。

意味合いとしては、患者さんや多職種、

そして地域の人々を満足させる薬剤師になろう、

という想いが込められております。

(参照:釜石コンテントfacebookページ)

 

よく質問されるのですが、薬剤師会の組織ではありません。

また、NPO法人でもありません。

 

現在の活動スケジュールは以下の2つです。

・月に1回の論文抄読会

・月に1回の研修会

 

論文抄読会では、JJCLIPさんの症例をそのまま用いたり、または、

AHEADMAPの理事の方のブログにある論文を抄読後に症例を考える、

といった内容で活動を続けており、平成28年度は5回開催しています。

 

https://aheadmap.jimdo.com/

NPO法人AHEADMAP ホームページ)

 

 

研修会では、講師は基本的に私が勤め、毎回テーマを決めて活動しています。

平成28年度のテーマは、

・コミュニケーション(平成28年4月)

・服薬情報提供書(平成28年7月)

・体調チェックフローチャート平成28年9月)

・ポリファーマシー(平成28年10月)

・臨床データ(平成28年12月)

・薬物動態(平成29年1月)

・災害(平成29年2月)

・看取り(平成29年3月)

の全8回でした。

 

1回90分~120分で、ロールプレイ、個人ワーク、グループワーク、

のどれかを必ず入れ、現場で出会うであろう状況を、

トレーニングするよう心掛けています。

 

運営費用は、参加者の参加費用1人100円のみ。

開催場所が、1時間あたり500円前後で借りられる施設を使用しており、

上記の参加費用のみで運営することが出来ております。

 

釜石コンテントの今後の展望

 

今後の追加企画としては、以下の2つを考えています。

・月1回集まり、専門書を(薬の相互作用としくみ)

 みんなで読み進めるタイプの勉強会

・臨床薬物動態の考え方に慣れるために、月1回集まり、

 薬のPKシートを作成するタイプの勉強会

 

これらの企画をすすめるために使用するつもりの専門書2点がこちらです。

 

新版 薬の相互作用としくみ

新版 薬の相互作用としくみ

 

 

第3版 臨床薬物動態学 薬物治療の適正化のために

第3版 臨床薬物動態学 薬物治療の適正化のために

 

 

上記のように、基本的に研修会の講師は私ですが、

内容によっては、講師を依頼する事もあります。

その場合には、市内の他職種の方に依頼するよう心がけております。

 

平成28年度で言えば、

臨床データの会は、医師の先生に依頼しましたし、

看取りの会は、 特別養護老人ホームのケアマネージャーに依頼しました。

 

何故そうしているかというと、

以下のメリットがあると考えているからです。

・運営面から言えば、交通費や宿泊費などの費用を考えなくて済む

・地域連携の視点言えば、講師との関係性がより深まる可能性がある

・地域の資源を活用することで、講師依頼した職種にも想いが伝わる可能性がある

 

もちろん市外から素晴らしい先生をお呼びするのも1つです。

その場合は、会費をあげて、参加者を募る必要があります。

 

ただ、市外から高名な先生をお呼びした場合に、

「いい話聴いたな〜で、何すればいいんだっけ」とか、

「あの人の地域なら出来るのかもしれないけど、ここじゃ無理だよね…」

そんな状況になってしまいがちなのではないでしょうか。

 

同じ地域の講師だからこそ、共感が生まれるし、

薬剤師以外の職種に講師を頼めば、多くのことを学べると思います。

 

私は、他職種(特に介護)の悩み、背景、現状、を知ることで、

薬剤師としての専門性を考えさせられました。

 

8月から3ヶ月連続で、管理栄養士を講師にお招きし、

薬剤師だけでなく、薬局の医療事務の方にも案内するつもりです。

 

医療事務にも対象を広げるのは、栄養は、

1人の人間として職種を問わず知っておくべき内容だと思うからです。

 

今後も、様々な企画をしていき、最低でも10年は続けていきたいと考えています。

 

薬剤師の能力アップを考え始めて感じること

 

釜石コンテントの活動を2年間続けて感じることは、

薬剤師という職そのものを考える必要性です。

 

先日、次のようなニュースがありました。

 

news.nicovideo.jp

 

このニュースによると、 AIやロボットに置き換わると思う医療職種で、

医療事務に次いで、薬剤師が2位となっています。

一般の方々からすると、

薬剤師はAIやロボットに変わって欲しいのかもしれません。

 

この先、

薬剤師という職がAIやロボットに変わってしまうかどうかは、

今現場で働いている私達次第だと思っています。

 

今の薬剤師の業務は、私よりも年齢が上の薬剤師の方々が、

患者さんのために何が出来るのか考えた結果あるものですし、

もちろん厚労省が考えたビジョンの結果あるものでもあります。

 

そんな業務内容については、賛否両論、様々な意見があります。

時代が変われば、求められることも変わるので、致し方ない部分もあるでしょう。

今、薬剤師全体で取り組んでいることが、もしかしたら、

未来では必要なくなるかもしれない、そんなこともあるかもしれません。

 

であるとするならば、私達が日々実践すること全てが、

これから薬剤師を目指そうとする小学生・中学生・高校生や、

現在薬学生として学んでいる人達の未来につながっていくのだと思います。

 

当たり前のことではありますが、我々の一挙手一投足は、

薬剤師という職種全体に影響を与えていく。

 

つまり、私達の行動次第では、

薬剤師という職種はなくなっていくのだろうし、

薬剤師という職種を意味のあるものにもできる、

そう考えて、釜石コンテントの活動をしています。

 

マクロな視点で、薬剤師という職種を考える。

 

薬剤師という職種の価値を、世代を超えて高めていく。

脈々と受け継ぎながら、できることを増やしていく。

 

そんなこと言われてもな・・・という気持ちもわかりますが、

頭の片隅に、こんな考えを置いておけば、

毎日の仕事への取組み方も、少しでも変わるのではないでしょうか。

変わらなければならないわけではありませんが、

少なくとも私はそう考えています。

 

今回は、マクロな視点で職そのものを見てみましたが、

次回は、マウロな視点で地域を見ることについて書いていきたいと思います。